2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧
「ランダムウォーク解析」の話の続きです.前回の記事は,これです. chaos-kiyono.hatenablog.com ランダムウォーク解析では,(1) 観測時系列の平均を0にして,(2) 積分して,(3) その増分の2乗平均の平方根をいろんなスケールで計算して,(4) 対のプロッ…
今回も,ランダムウォーク解析についてです.ランダムウォーク解析 (fluctuation analysisと呼ばれることも)は,Natureに出版された論文でも使われています (以下のリンク). www.nature.com とはいえ,ランダムウォーク解析は,今では実用的な時系列解析法…
ランダムウォーク解析について前回に引き続き考えていきます.今回は自己相関(自己共分散)関数との関係です.前回の記事は以下です.chaos-kiyono.hatenablog.com ゆらぎ関数と自己相関(自己共分散)関数との関係 ここでは.平均0,分散の弱定常過程の時…
ランダムウォーク解析のつづきです.今回は,この解析法について解析的に考えてみます.chaos-kiyono.hatenablog.com 白色ノイズのランダムウォーク解析 白色ノイズを分析すると 白色ノイズは,無相関な時系列です.平均0,分散の白色ノイズの時系列をランダ…
今回は,ランダムウォーク解析の導入です.detrended fluctuation analysis (DFA)とか,detrending moving average analysis (DMA)とかを使ってる研究者の方が,そこそこいると思います.ランダムウォーク解析は,DFA,DMAの原型となる,素朴な方法です.ラ…
ここでは,公式として,2つの確率変数との和,積,分散の性質をまとめおきます.証明は,たくさんの方が与えてくれているのでそれを参照してください.以下の関係は,今後,ランダムウォークの軌道の性質を議論するために使います. 期待値の表現 数学系の…
時系列のフラクタル解析に分類されるdetrended fluctuation analysis (DFA)とか,detrending moving average analysis (DMA)で何をやっているのかを理解するためには,無相関な時系列を積分すると,その積分時系列がどのような特性を持つようになるのかを理…
講義用の参考資料です.今回は,ランダムウォークのサンプルパスを描きます.簡単化のためにx軸上の動きのみを考えます. ランダムウォークのサンプルパス (p = 0.5, q=0.5) ランダムウォークは,ブラウン運動の確率モデルです.物理学におけるブラウン運動…
自己回帰過程や移動平均過程を表現する際に便利な,ラグオペレータ (lag operator),あるいは,後退オペレータ (backshift operator)と呼ばれるものを紹介します.どちらも名前が違うだけで同じものです.ラグオペレータは,後退オペレータはとすることが多…
私の記事で扱いたいテーマの一つに,1/fノイズ(1/fゆらぎ,ピンクノイズ)があります.私は,1/fゆらぎの科学的意義を伝えたいのですが,世の中では「1/fゆらぎには,リラックス作用がある」と認識されていて,根強い人気があるようです. 私のYoutubeチャ…
時系列を表すときに,とか,とか,とか,]とか,いろいろな書き方があります.今回は,この書き方の慣例について説明します.絶対のルールがあるわけではありません. 連続時間は ,整数の離散時間は下付 か まずは,連続時間と離散時間の使い分けです.時系…
今回から,本格的に2次自己回帰過程のパワースペクトルに入ります.自己回帰過程の理解において,最も重要なポイントの一つは「n次自己回帰過程のパワースペクトルは,1次自己回帰過程と2次自己回帰過程のパワースペクトルの和になっている」ということです…
1/fノイズやホワイトノイズを音として体験する動画資料です.視聴する際は音量を低めに設定してください.1/fノイズ(ピンクノイズ)の音です. www.youtube.comホワイトノイズの音です. www.youtube.comホワイトノイズのハイパス信号です.カットオフ周波…
自己回帰過程のパワースペクトルを求めるテクニックの説明です.自己回帰過程の係数が与えられた状況から,パワースペクトルの式を導くことはとても簡単です.でも,大切なことは理屈を感じることです. 必要な基本知識 長さNの時系列のフーリエ変換とその逆…
弱定常が仮定できる場合のパワースペクトルの定義について,まとめておきます.これまでの私の記事では,時系列のフーリエ変換から計算するものと,時系列の自己共分散関数(自己相関関数)から計算するものを,私のかってな都合にあわせて使い分けていまし…
前回は,時系列の積分がパワースペクトルにもたらす変化「ゆらぎを積分すると,ゆらぎになる」を解析的に示しました.chaos-kiyono.hatenablog.com今回は,数値実験です. 非整数ガウスノイズ(左)とその積分(右),下は対応するパワースペクトルのlog-log…
今回は,「ゆらぎを積分すると,ゆらぎになる」ことの説明です.つまり,時系列のパワースペクトルが,低周波数側で に従うとき,を積分した時系列 ] ()のパワースペクトルが,低周波数側で になることの説明です(下図参照).逆に,差分をとるとになります…
自己共分散 (autocovariance), 自己相関 (autocorrelation), 自己相関係数 (autocorrelation coefficient), この3つの違いを知ってますか?ここで言いたいことは,これらの定義は分野によって違うので,名前にこだわるな,思い込みは捨てろ,教科書や論文…
私の研究室の学生は,私があまりにしつこく1次自己回帰過程の話をするのでうんざりしているかもしれません.さらに,しつこくやっていきます.1次自己回帰過程 (,は平均0,分散の白色ノイズ)のパワースペクトルは, です.今回は,このパワースペクトルのグ…
今日の講義資料です.散逸力学系のカオスアトラクター(下図)をRを使って描画してみます.ただし,ここで説明する例は,ただの3次元プロットです.考える微分方程式はレスラー方程式です.パラメタは,カオスになる代表的な値を使います.方程式については…
本日のセミナーの課題は,2次自己回帰過程 ]のサンプル時系列から自己共分散関数とパワースペクトルを推定することです.]は,平均0,分散の白色ノイズです.とりあえず,,でやってみて,他のパラメタでも調べてみてください.これまでの知識を使えば簡単…
時系列解析で私が大切にしていることは,「自分の目で時系列を見る」ことです.数値列ではなく,グラフにして見ます.とはいえ,ただ,時系列全体をグラフに描けば良いのではなく,「時間スケールを変えて時系列を見る」ことが必要です.ここで,「スケール…
今回は,サンプリング間隔が1ではなく,のときのパワースペクトルについての説明です.スペクトル解析や時系列解析についての教科書では,サンプリング間隔が1の場合のみ扱っているものが多いので,迷うことがあると思います.サンプリング間隔の長さの時系…
パワースペクトル解析,長時間相関解析などについて,私の古い解説動画のリンクをまとめておきます.興味があれば見てみてください.中途半端なところで解説動画が止まっているので,このブログで文章での説明がある程度まとまれば,新しく解説動画を作って…
今回は,周波数がの領域で1/fゆらぎ(ピンクノイズ)の特性を持つサンプル時系列の生成をやります.詳しい説明はしませんが,1/fゆらぎの生成メカニズムとして,自己共分散関数が指数関数的な減衰を示すサブシステムの和を考えるものが提案されています(下…
今回は,狭い意味での1/fゆらぎを生成します.ピンクノイズとも呼ばれます.なぜピンクかといえば,色とのアナロジーです.可視光の低周波数側の端が赤色なので,低周波側,つまり,白色よりも赤色が強調されていると考えられるので,色で言えば,どちらかと…
今回は,何で「1/f(えふぶんのいち)ゆらぎ」とか,1/fノイズに注目するのか,何が不思議なのか,何がおもしろいのか,というお話です.1/fゆらぎについて,歴史と最新の成果を正確に記述することは,私には難しいので,まずは,現状の私の知識,印象,思い…
今回は,Rを使って非整数ガウスノイズ(fractional Gaussian noise)を生成します.しかも,一切,パッケージに頼らずにです.そもそも,非整数ガウスノイズとは何かというと,ポイントは以下です: ガウスノイズなので,分布は正規分布に従います. 自己共…
今回はDetrending moving average algorithm (DMA)をRでやってみます.DMAの参考文献はこれです(ダウンロードできない人が多いと思います.オープンアクセスの良い論文を見つけられませんでした): Detrending Moving Average algorithm: a brief review …
今回はDetrended Fluctuation Analysis (DFA)をRでやってみます.パッケージもあると思いますが,パッケージなしで実現します.まずは,解析する時系列の準備です.これは,longmemoパッケージを使います.分析したい時系列がある場合は,このRスクリプトは…