ケィオスの時系列解析メモランダム

時系列解析,生体情報学,数学・物理などの解説です.

時系列解析

【Rで時系列解析】1/fノイズ (ピンクノイズ)時系列の生成:中点変位法

今回は,中点変位法 (midpoint displacement algorithm)で,1/fノイズ (ピンクノイズ)のサンプル時系列を生成します.元々,中点変位法は,非整数ブラウン運動のサンプルパス (サンプル時系列)を作る方法ですが,非整数ブラウン運動をわずかにはみ出た領域を…

【Rで時系列解析】中点変位法 (midpoint displacement algorithm)で非整数ブラウン運動のサンプルパスを生成

1次元の非整数ブラウン運動 (fractional Brownian motion)のサンプルパス (時系列)の生成方法の一つ「中点変位法」(midpoint displacement algorithm)について説明します. 中点変位法で作成した非整数ブラウン運動のサンプルパス (H=0.8)この話は,「フラ…

【Rで時系列解析】白色ノイズのm階積分 (和分)過程のパワースペクトル (数値実験)

前に,階積分 (和分)過程のパワースペクトルの記事を書いたときに導いた結果,分散の白色ノイズの階差分過程の時系列のパワースペクトルは, 階積分 (和分)過程の時系列のパワースペクトルは, について,数値実験で確認していなかったので,やっておきます…

【時系列解析】非整数積分 (和分)があれば,パワースペクトルはもっと自由:ARFIMA(0, d, 0)の半歩手前から大きく外れてみる

今回はパワースペクトルが,を定数として, の形になる,差分方程式で記述される確率過程を考えます.前の記事 chaos-kiyono.hatenablog.com で,m階積分 (和分)過程のパワースペクトル(もどき)を計算しました.つまり, 分散の白色ノイズの階積分 (和分)…

【時系列解析】m階積分 (和分)とパワースペクトル:ARFIMA(0, d, 0)の一歩手前

今回は,Autoregressive fractionally integrated moving average process (ARFIMA)への導入の手前です.ARFIMAの日本語訳は,私が訳せば「自己回帰非整数積分移動平均過程」,インターネット検索でよく見る訳は「自己回帰実数和分移動平均過程」です.MA (m…

【時系列解析】ピリオドグラムって何?よくわかりません

最近,「ピリオドグラム」(periodogram)とか「ピリオドグラム法」って何を意味するのかわからなくなりました.きっかけは,セミナーで使っている北川源四郎先生の時系列解析の本です.人のせいにしてすいません. 私は,periodogramを,ずーっと(20年ほど…

【Rで時系列解析】パワースペクトルの平均化処理

パワースペクトルを推定する数値実験を,少しずつやっていきたいと思います. 平均化処理ってやったほうがいいかも,というのが今回の感想です. Rでパワースペクトルを推定するとき,"spectrum"というコマンドを使えばいいんでしょ,と考えている人も多いと…

【確率過程・時系列解析】2次自己回帰過程の自己共分散 (自己相関)関数

2次自己回帰過程の自己共分散 (自己相関)関数を一つの式で表しておきます.差分方程式の形での表現は,この前のセミナーで学生が導いてくれたし,インターネットで検索すればいくらでも出てくると思います. 2次自己回帰過程の自己共分散とパラメタの関係 2…

【確率過程・時系列解析】1次自己回帰過程のパワースペクトルから自己共分散(自己相関)を求める

理由は良く知りませんが,自己共分散(自己相関)関数を使ってパワースペクトルを定義する流儀が存在します.そんな流儀,知ったことではないので,ここでは,1次自己回帰過程のパワースペクトルから,自己共分散(自己相関)を求めてみます.今回は,ここま…

【確率過程・時系列解析】自己回帰過程のパワースペクトルと自己共分散(自己相関)の関係(複素積分表示)

今回は,自己回帰過程について,パワースペクトルの複素積分で,対応する自己共分散(自己相関)を表します.これは,「次自己回帰過程のパワースペクトルは,1次自己回帰過程と2次自己回帰過程のパワースペクトルの和になっている」あるいは,「次自己回帰…

【確率過程・時系列解析】自己共分散(自己相関)とパワースペクトルの関係

自己共分散(自己相関)とパワースペクトルの関係についての話です.何言っているかわからない人は,下にまとめた関連記事を先に見てみてください.ちょっと前に,パワースペクトルは,自己共分散(自己相関)のフーリエ変換だ,という話をしました.という…

【時系列解析】なぜ,自己共分散(自己相関)が急激に減衰しないとパワースペクトルは定義できないのか?

北川 源四郎先生の本「Rによる 時系列モデリング入門」(33 ページ)では, 「ラグが大きくなるとき自己共分散関数が急激に減衰し」という条件が,パワースペクトル の定義を与える部分に書いてあります (以下では,をと書きます).何で? この条件「自己共分…

【時系列解析】長期記憶,長時間相関,フラクタル

時系列の長期記憶 (long memory),長時間相関 (long-range correlation),フラクタル性 (fractality)について整理しておきます. 長期記憶過程 (long memory process) 長期記憶過程は自己共分散関数が, となる確率過程です.何で全部足すの?という疑問がわ…

【確率過程・時系列解析】自己回帰過程の特性方程式の根 (数値解)

前回は,自己回帰過程の特性方程式の話をしました. chaos-kiyono.hatenablog.com つまり,次自己回帰過程 について,特性方程式 の解 (根)の絶対値がすべて1より大きければ,自己回帰過程は発散しない. ということを説明しました.今回は,Rをつかって実際…

【確率過程・時系列解析】自己回帰過程の特性方程式の解と定常性

今回は,自己回帰過程の特性方程式の解と定常性の話です.特性方程式の解が,単位円の内側とか外側とかいう話の説明をします.次自己回帰過程 (以下のは,平均0,分散の白色ノイズです) をラグオペレータを使って書けば, と書けます.これは,以前にパワー…

【心拍変動解析】RR間隔時系列の再サンプリング (等間隔サンプリング化)

心拍変動解析では,パワースペクトルの推定を使った心拍変動指標がよく使われます.HFパワーとか,LFパワーとか呼ばれるやつです.今回は,これら指標について説明しません.心拍変動指標を計算する前に,絶対に理解しておかなければならないことがあるから…

【時系列解析】自己回帰過程のパラメタとパワースペクトルの関係

今回は,一般に次自己回帰過程 のパラメタと,の分散 (平均は0とします)がわかったときに,そのパワースペクトルを導きます.というか,パワースペクトルをとりあえず式で書きます. 今回は,パワースペクトルのパラメトリック推定を理解するための準備にな…

【Rで時系列解析】心拍変動データを読み込み

今回は実際の時系列データを読み込んでグラフを描いでみます. 濃厚接触者として自宅待機中(現在)の私の心拍変動 (RRI間隔)時系列をサンプルとして使ってください.以下のリンクからダウンロードできます. https://drive.google.com/file/d/1i0VIooI1-IKA…

【時系列解析】ランダムウォーク解析の解析的考察(その4:スケーリング指数の関係)

「ランダムウォーク解析」の話の続きです.前回の記事は,これです. chaos-kiyono.hatenablog.com ランダムウォーク解析では,(1) 観測時系列の平均を0にして,(2) 積分して,(3) その増分の2乗平均の平方根をいろんなスケールで計算して,(4) 対のプロッ…

【時系列解析】ランダムウォーク解析の解析的考察(その3:パワースペクトルとの関係)

今回も,ランダムウォーク解析についてです.ランダムウォーク解析 (fluctuation analysisと呼ばれることも)は,Natureに出版された論文でも使われています (以下のリンク). www.nature.com とはいえ,ランダムウォーク解析は,今では実用的な時系列解析法…

【時系列解析】ランダムウォーク解析の解析的考察(その2:自己相関関数との関係)

ランダムウォーク解析について前回に引き続き考えていきます.今回は自己相関(自己共分散)関数との関係です.前回の記事は以下です.chaos-kiyono.hatenablog.com ゆらぎ関数と自己相関(自己共分散)関数との関係 ここでは.平均0,分散の弱定常過程の時…

【時系列解析】ランダムウォーク解析の解析的考察(その1:白色ノイズの場合)

ランダムウォーク解析のつづきです.今回は,この解析法について解析的に考えてみます.chaos-kiyono.hatenablog.com 白色ノイズのランダムウォーク解析 白色ノイズを分析すると 白色ノイズは,無相関な時系列です.平均0,分散の白色ノイズの時系列をランダ…

【Rでフラクタル解析】ランダムウォーク解析,Fluctuation analysis,2次構造関数解析

今回は,ランダムウォーク解析の導入です.detrended fluctuation analysis (DFA)とか,detrending moving average analysis (DMA)とかを使ってる研究者の方が,そこそこいると思います.ランダムウォーク解析は,DFA,DMAの原型となる,素朴な方法です.ラ…

【フラクタル解析】1次元ランダムウォークの自己アフィン性

時系列のフラクタル解析に分類されるdetrended fluctuation analysis (DFA)とか,detrending moving average analysis (DMA)で何をやっているのかを理解するためには,無相関な時系列を積分すると,その積分時系列がどのような特性を持つようになるのかを理…

【Rでシミュレーション】ブラウン運動のランダムウォークモデル

講義用の参考資料です.今回は,ランダムウォークのサンプルパスを描きます.簡単化のためにx軸上の動きのみを考えます. ランダムウォークのサンプルパス (p = 0.5, q=0.5) ランダムウォークは,ブラウン運動の確率モデルです.物理学におけるブラウン運動…

【時系列解析】ラグオペレータ (lag operator),後退オペレータ (backshift operator)の登場

自己回帰過程や移動平均過程を表現する際に便利な,ラグオペレータ (lag operator),あるいは,後退オペレータ (backshift operator)と呼ばれるものを紹介します.どちらも名前が違うだけで同じものです.ラグオペレータは,後退オペレータはとすることが多…

【時系列解析】時系列の書き方などの慣例

時系列を表すときに,とか,とか,とか,]とか,いろいろな書き方があります.今回は,この書き方の慣例について説明します.絶対のルールがあるわけではありません. 連続時間は ,整数の離散時間は下付 か まずは,連続時間と離散時間の使い分けです.時系…

【時系列解析】2次自己回帰過程のパワースペクトル(解析的導出)

今回から,本格的に2次自己回帰過程のパワースペクトルに入ります.自己回帰過程の理解において,最も重要なポイントの一つは「n次自己回帰過程のパワースペクトルは,1次自己回帰過程と2次自己回帰過程のパワースペクトルの和になっている」ということです…

【時系列解析】自己回帰過程のパワースペクトルを解析的に求める

自己回帰過程のパワースペクトルを求めるテクニックの説明です.自己回帰過程の係数が与えられた状況から,パワースペクトルの式を導くことはとても簡単です.でも,大切なことは理屈を感じることです. 必要な基本知識 長さNの時系列のフーリエ変換とその逆…

【時系列解析】パワースペクトルの定義の確認

弱定常が仮定できる場合のパワースペクトルの定義について,まとめておきます.これまでの私の記事では,時系列のフーリエ変換から計算するものと,時系列の自己共分散関数(自己相関関数)から計算するものを,私のかってな都合にあわせて使い分けていまし…