ケィオスの時系列解析メモランダム

時系列解析,生体情報学,数学・物理などの解説です.

長時間相関

【長時間相関スケーリング解析】DMAの説明用gif動画

Detrending moving average analysis (DMA)の説明用の動画を作っておきました.学会発表などで使ってください. DMAの手順 より本格的なものは,Youtubeにあげておきます. www.youtube.com 実際の分析の方法は,以前の記事を参考にしてください. chaos-kiy…

【Rで長時間相関】ARFIMA(0, d, 0)のAR過程近似を数値的に検証

前回に続き,ARFIMA(0, d, 0)を,無限次の自己回帰過程 (AR過程: autoregressive process)で表現する話です.今回は数値実験です. 1. 基本事項:long AR過程表現 2. 数値計算のポイント 3. 数値計算結果 Rスクリプト 前回の記事は,これです. chaos-kiyono…

【確率過程】ARFIMA(0, d, 0)のAR過程近似

長時間相関を示すARFIMA(0, d, 0)を無限次の自己回帰過程 (AR過程: autoregressive process)として近似した形のメモです.これを考えるねらいは,長時間相互相関過程のGranger因果性を調べる方法を検討したいからです.既に,論文があれば教えてください.長…

【Rで時系列解析】1/fノイズの自己共分散 (自己相関)関数は対数関数で,べきじゃない

今回は,1/fノイズ (ピンクノイズ)の自己共分散 (自己相関)関数についての話です.つまり,パワースペクトルが となる時系列の自己共分散 (自己相関)関数は, ということを説明します.解析的に導出しようかと思いましたが,この論文 doi.org の流れをなぞる…

【Rでピンクノイズ】ピンクノイズ (1/fゆらぎ)の生成方法のまとめ

これまでに,ピンクノイズ (1/fゆらぎ)のサンプル時系列の生成方法について,私が知っているものは,ほぼすべて紹介しました (自己相関関数を指定するものだけ説明してません).今回は,ピンクノイズ (1/fゆらぎ)の生成方法をまとめておきます. Rのパッケー…

【Rで時系列解析】1/fノイズ (ピンクノイズ)時系列の生成:中点変位法

今回は,中点変位法 (midpoint displacement algorithm)で,1/fノイズ (ピンクノイズ)のサンプル時系列を生成します.元々,中点変位法は,非整数ブラウン運動のサンプルパス (サンプル時系列)を作る方法ですが,非整数ブラウン運動をわずかにはみ出た領域を…

【時系列解析】非整数積分 (和分)があれば,パワースペクトルはもっと自由:ARFIMA(0, d, 0)の半歩手前から大きく外れてみる

今回はパワースペクトルが,を定数として, の形になる,差分方程式で記述される確率過程を考えます.前の記事 chaos-kiyono.hatenablog.com で,m階積分 (和分)過程のパワースペクトル(もどき)を計算しました.つまり, 分散の白色ノイズの階積分 (和分)…

【時系列解析】m階積分 (和分)とパワースペクトル:ARFIMA(0, d, 0)の一歩手前

今回は,Autoregressive fractionally integrated moving average process (ARFIMA)への導入の手前です.ARFIMAの日本語訳は,私が訳せば「自己回帰非整数積分移動平均過程」,インターネット検索でよく見る訳は「自己回帰実数和分移動平均過程」です.MA (m…

【時系列解析】長期記憶,長時間相関,フラクタル

時系列の長期記憶 (long memory),長時間相関 (long-range correlation),フラクタル性 (fractality)について整理しておきます. 長期記憶過程 (long memory process) 長期記憶過程は自己共分散関数が, となる確率過程です.何で全部足すの?という疑問がわ…

【時系列解析】ランダムウォーク解析の解析的考察(その4:スケーリング指数の関係)

「ランダムウォーク解析」の話の続きです.前回の記事は,これです. chaos-kiyono.hatenablog.com ランダムウォーク解析では,(1) 観測時系列の平均を0にして,(2) 積分して,(3) その増分の2乗平均の平方根をいろんなスケールで計算して,(4) 対のプロッ…

【時系列解析】ランダムウォーク解析の解析的考察(その3:パワースペクトルとの関係)

今回も,ランダムウォーク解析についてです.ランダムウォーク解析 (fluctuation analysisと呼ばれることも)は,Natureに出版された論文でも使われています (以下のリンク). www.nature.com とはいえ,ランダムウォーク解析は,今では実用的な時系列解析法…

【時系列解析】ランダムウォーク解析の解析的考察(その2:自己相関関数との関係)

ランダムウォーク解析について前回に引き続き考えていきます.今回は自己相関(自己共分散)関数との関係です.前回の記事は以下です.chaos-kiyono.hatenablog.com ゆらぎ関数と自己相関(自己共分散)関数との関係 ここでは.平均0,分散の弱定常過程の時…

【フラクタル解析】1次元ランダムウォークの自己アフィン性

時系列のフラクタル解析に分類されるdetrended fluctuation analysis (DFA)とか,detrending moving average analysis (DMA)で何をやっているのかを理解するためには,無相関な時系列を積分すると,その積分時系列がどのような特性を持つようになるのかを理…

【Rで時系列解析】1/fゆらぎを積分すると傾き2だけ変化(数値実験)

前回は,時系列の積分がパワースペクトルにもたらす変化「ゆらぎを積分すると,ゆらぎになる」を解析的に示しました.chaos-kiyono.hatenablog.com今回は,数値実験です. 非整数ガウスノイズ(左)とその積分(右),下は対応するパワースペクトルのlog-log…

【時系列解析】1/fゆらぎを積分するとパワースペクトルの指数が2だけ変化(解析的導出)

今回は,「ゆらぎを積分すると,ゆらぎになる」ことの説明です.つまり,時系列のパワースペクトルが,低周波数側で に従うとき,を積分した時系列 ] ()のパワースペクトルが,低周波数側で になることの説明です(下図参照).逆に,差分をとるとになります…

【時系列解析】時系列の長時間相関解析(フラクタル解析)

パワースペクトル解析,長時間相関解析などについて,私の古い解説動画のリンクをまとめておきます.興味があれば見てみてください.中途半端なところで解説動画が止まっているので,このブログで文章での説明がある程度まとまれば,新しく解説動画を作って…

【Rを使った時系列解析】有限の周波数領域で1/fゆらぎ(ピンクノイズ)になる時系列を生成

今回は,周波数がの領域で1/fゆらぎ(ピンクノイズ)の特性を持つサンプル時系列の生成をやります.詳しい説明はしませんが,1/fゆらぎの生成メカニズムとして,自己共分散関数が指数関数的な減衰を示すサブシステムの和を考えるものが提案されています(下…

【Rを使った時系列解析】1/fゆらぎ(ピンクノイズ)を生成

今回は,狭い意味での1/fゆらぎを生成します.ピンクノイズとも呼ばれます.なぜピンクかといえば,色とのアナロジーです.可視光の低周波数側の端が赤色なので,低周波側,つまり,白色よりも赤色が強調されていると考えられるので,色で言えば,どちらかと…

【時系列解析】1/fゆらぎ,1/fノイズ,何がおもしろいの?

今回は,何で「1/f(えふぶんのいち)ゆらぎ」とか,1/fノイズに注目するのか,何が不思議なのか,何がおもしろいのか,というお話です.1/fゆらぎについて,歴史と最新の成果を正確に記述することは,私には難しいので,まずは,現状の私の知識,印象,思い…

【Rを使った時系列解析】非整数ガウスノイズの生成

今回は,Rを使って非整数ガウスノイズ(fractional Gaussian noise)を生成します.しかも,一切,パッケージに頼らずにです.そもそも,非整数ガウスノイズとは何かというと,ポイントは以下です: ガウスノイズなので,分布は正規分布に従います. 自己共…

【Rで時系列解析】Detrending moving average algorithm (DMA)を使った長時間相関スケーリング解析

今回はDetrending moving average algorithm (DMA)をRでやってみます.DMAの参考文献はこれです(ダウンロードできない人が多いと思います.オープンアクセスの良い論文を見つけられませんでした): Detrending Moving Average algorithm: a brief review …

【Rで時系列解析】Detrended Fluctuation Analysis (DFA)を使った長時間相関スケーリング解析

今回はDetrended Fluctuation Analysis (DFA)をRでやってみます.パッケージもあると思いますが,パッケージなしで実現します.まずは,解析する時系列の準備です.これは,longmemoパッケージを使います.分析したい時系列がある場合は,このRスクリプトは…

【時系列解析】パワースペクトルで相関のイメージをつかむ

今回は,パワースペクトルから長時間相関のイメージをつかむための説明です.長時間相関では,長時間の正の相関と,長時間の負の相関があります.ここでは,「相関」という用語を,自己相関関数ではなく,「似た値の出やすさ」くらいの意味で使っていること…

【時系列解析】長時間相関って何だ

Detrended fluctuation analysis (DFA)の解釈の説明で, のときが無相関 のときが長時間の負の相関(長時間反相関,長時間逆相関) のときが長時間の正の相関(長時間正相関) と説明されることがよくあります.今回は,私がこの説明に抱く違和感と,私が考…

【Rでフラクタル】非整数ブラウン運動Zoomingアニメの作成

非整数ブラウン運動は,横と縦方向の拡大倍率を,対とすれば,時系列の統計的性質が拡大前後で同じになる過程です.は,ハースト(Hurst)指数と呼ばれるパラメタで,非整数ブラウン運動はの値で特徴付けられます.数式で理解する前に,非整数ブラウン運動の…

【時系列のフラクタル解析】DMAの使い方(C言語プログラムの配布と使い方)

時系列の長時間相関解析やフラクタル解析(統計的自己アフィン性の解析)を行うのに,最近の20年間でDetrended fluctuation analysis (DFA)が使われることが多くなっています.DFAは神話化がはじまっており,その本質や欠点がきちんと理解されていないという…

【時系列のフラクタル解析】DMCAの実際(最適ラグの推定)

今回は,Detrending Moving-Average Cross-Correlation Analysis (DMCA)でラグを推定します.ここでは,DMCAのC言語プログラムをコンパイルしたもの(各自コンパイルしてください),windowsのコマンドプロンプト,Rを使います.下記の論文"Generalized theo…

【Rでフラクタル解析】長時間相互相関時系列の生成(ラグ指定あり)

下記の論文"Generalized theory for detrending moving-average cross-correlation analysis: A practical guide"の解説シリーズです. doi.orgまずは,detrending moving-average cross-correlation analysis (DMCA)で,何をやっているの?ということを少し…

【Rで時系列解析】白色ノイズと桃色ノイズを音で体験

時系列解析では,ホワイトノイズとか,ピンクノイズ,レッドノイズとか登場します.私は,ホワイトノイズ以外の呼び方は,ほとんど使いません(色じゃないし).これらの色の名前がついたノイズは,それらの時系列のパワースペクトルの形状と色のスペクトル…

【Rで時系列解析】長時間相関時系列の生成

時系列の長時間相関解析とか,フラクタル解析とか,そう呼ばれる解析を試してみるためには,時系列のサンプルが必要です.そのために,Rを使って,時系列を生成する方法を紹介します.ここでは,longmemoパッケージを使います.パッケージをインストールして…