ケィオスの時系列解析メモランダム

時系列解析,生体情報学,数学・物理などの解説です.

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【Rで高速フーリエ変換】Rのfftは任意の長さで大丈夫だけど,学習用に基数2のFFTを自作

Rとか,Pythonとかを使って,誰でも簡単に高速フーリエ変換 (fast Fourier transform, FFT)を使える時代になりました.最近コロナで,人と会わなくなって,久しぶりに遠隔会議であった方々が老けたなーと感じることが多くなりました.同様に私も年寄りになっ…

【Rで時系列解析】パワースペクトルの平均化処理

パワースペクトルを推定する数値実験を,少しずつやっていきたいと思います. 平均化処理ってやったほうがいいかも,というのが今回の感想です. Rでパワースペクトルを推定するとき,"spectrum"というコマンドを使えばいいんでしょ,と考えている人も多いと…

【Rで時系列解析】パワースペクトルの平均処理

本日のセミナーの課題を,私なりこなしました.パワースペクトルを推定するときは,時系列をまるごと1本としてパワースペクトルを計算するよりも,時系列を部分区間に分割して,複数のパワースペクトルの平均をとった方が,パワースペクトル推定のばらつきが…

【基礎工学のための数学】線形性と特性方程式と重ね合わせ:線形微分方程式と線形差分方程式の解

時系列解析の応用的な論文で「非線形性」という用語が使われることがあります.非線形というのは,線形でないという意味です.医学・生理学,医工学分野などの応用分野では,「非線形性」が印象だけで使われていて,意味が崩壊しているような感じがします.…

【確率過程・時系列解析】2次自己回帰過程の自己共分散 (自己相関)関数

2次自己回帰過程の自己共分散 (自己相関)関数を一つの式で表しておきます.差分方程式の形での表現は,この前のセミナーで学生が導いてくれたし,インターネットで検索すればいくらでも出てくると思います. 2次自己回帰過程の自己共分散とパラメタの関係 2…

【確率過程・時系列解析】1次自己回帰過程のパワースペクトルから自己共分散(自己相関)を求める

理由は良く知りませんが,自己共分散(自己相関)関数を使ってパワースペクトルを定義する流儀が存在します.そんな流儀,知ったことではないので,ここでは,1次自己回帰過程のパワースペクトルから,自己共分散(自己相関)を求めてみます.今回は,ここま…

【基礎工学のための複素関数論】留数定理

今回は留数定理です.留数定理を知っておいてほしい理由は,自己回帰過程の分解の計算に使うからです.留数定理では,下図のように周回積分する単一閉曲線の内側に,特異点と呼ばれるトゲや穴,,が複数ある場合を扱えます. 複素平面にある特異点のイメージ…

【基礎工学のための複素関数論】複素積分で覚えておきたいポイント

複素積分について勉強したでしょうか.私は数学者ではありませんが,昔,ある大学で,線形代数とか,複素関数論とか,数学の基礎科目の講義を一通り担当していました.毎週6~7コマ担当なので,結構疲れて,肩が痛かったです.その当時は,お前の仕事は講義…

【確率過程・時系列解析】自己回帰過程のパワースペクトルと自己共分散(自己相関)の関係(複素積分表示)

今回は,自己回帰過程について,パワースペクトルの複素積分で,対応する自己共分散(自己相関)を表します.これは,「次自己回帰過程のパワースペクトルは,1次自己回帰過程と2次自己回帰過程のパワースペクトルの和になっている」あるいは,「次自己回帰…

【確率過程・時系列解析】自己共分散(自己相関)とパワースペクトルの関係

自己共分散(自己相関)とパワースペクトルの関係についての話です.何言っているかわからない人は,下にまとめた関連記事を先に見てみてください.ちょっと前に,パワースペクトルは,自己共分散(自己相関)のフーリエ変換だ,という話をしました.という…

【時系列解析】なぜ,自己共分散(自己相関)が急激に減衰しないとパワースペクトルは定義できないのか?

北川 源四郎先生の本「Rによる 時系列モデリング入門」(33 ページ)では, 「ラグが大きくなるとき自己共分散関数が急激に減衰し」という条件が,パワースペクトル の定義を与える部分に書いてあります (以下では,をと書きます).何で? この条件「自己共分…

【確率過程・時系列解析】自己回帰過程の特性方程式の根 (数値解)

前回は,自己回帰過程の特性方程式の話をしました. chaos-kiyono.hatenablog.com つまり,次自己回帰過程 について,特性方程式 の解 (根)の絶対値がすべて1より大きければ,自己回帰過程は発散しない. ということを説明しました.今回は,Rをつかって実際…

【確率過程・時系列解析】自己回帰過程の特性方程式の解と定常性

今回は,自己回帰過程の特性方程式の解と定常性の話です.特性方程式の解が,単位円の内側とか外側とかいう話の説明をします.次自己回帰過程 (以下のは,平均0,分散の白色ノイズです) をラグオペレータを使って書けば, と書けます.これは,以前にパワー…

【時系列解析】自己回帰過程のパラメタとパワースペクトルの関係

今回は,一般に次自己回帰過程 のパラメタと,の分散 (平均は0とします)がわかったときに,そのパワースペクトルを導きます.というか,パワースペクトルをとりあえず式で書きます. 今回は,パワースペクトルのパラメトリック推定を理解するための準備にな…

【確率統計】確率変数の和の期待値と分散,積の期待値

ここでは,公式として,2つの確率変数との和,積,分散の性質をまとめおきます.証明は,たくさんの方が与えてくれているのでそれを参照してください.以下の関係は,今後,ランダムウォークの軌道の性質を議論するために使います. 期待値の表現 数学系の…