ケィオスの時系列解析メモランダム

時系列解析,生体情報学,数学・物理などの解説です.

【時系列解析】時系列の書き方などの慣例

 時系列を表すときに,x(t)とか,\{x(t)\}とか,x_nとか,x[i]とか,いろいろな書き方があります.今回は,この書き方の慣例について説明します.絶対のルールがあるわけではありません.

連続時間は x(t),整数の離散時間は下付  x_n x[n]

 まずは,連続時間と離散時間の使い分けです.時系列(あるいは確率変数)は,時間順序をあわらす,tとか,nとかで,時刻が指定されます.

 高校の教科書では,

 t が実数(連続時間)をとるとき,x(t)
 t が整数をとるとき,x_t

になっています.高校で登場する漸化式(差分方程式)では,a_nのように下付になっています.大学の先生はそんなルールを気にしないので,大学によっては漸化式を扱った入試問題で  a(n)となっていることもあります.

 高校を卒業すると,下付き,上付きの文字飾りをたくさん使うようになったり,下付文字だとそこに複雑な式を書きにくいので,時系列解析の分野では,

 n が整数をとるとき,x[n]

とします.

ですので,私の記事では,時間が整数で指定される場合に, x_nか, x[n]と書くことにしています.

時間が離散でもサンプリング間隔が \Delta tの場合は,背後に連続時間があることを意識して,

 x(0), x(\Delta t), x(2\Delta t), \cdots

とします.

中括弧は集合を表す.

 中括弧で囲んで,\{x(t)\}にするのは,たくさんの点の集合である気持ちを表しています.確率を表すときに, P(\{x_n\})としたりするのも,確率は事象の集合に対して決まるので,集合の場合は中括弧を付けます.

確率変数と実現値

 確率変数を大文字,その確率変数の実現値を小文字で表すルールがよく使われます.特に数学の場合はそのようにすることが普通だと思います.しかし,物理や工学では,大文字と小文字の使い分けはしないこともあります.

例えば,\{x(t)\}フーリエ変換X(f)で表すと,確率変数を大文字で表せなくなるので,時系列解析では,確率変数でも小文字のままにすることが多いです.

整数は,i, j, k

 \Sigmaで和をとるときに,ijkを使うことが多いです.これは,FORTRANというプログラム言語で,iからが整数型になっていたからではないかと私は思いますが,本当のことは分かりません.整数時間を表す変数についても,i, j, k, nあたりが,しっくりきます.

虚数単位はjもある

 工学では,虚数単位をjにすることがあります.私はiを使います.整数を表すiやjとかぶるので,いやになることがあります.そんなときは,虚数単位を太字のiにしたり,他のフォントを使ったりします.

 ということで,基本は自由ですが,共通の表現ルールを使うと,理解しやすいと言うことがありますので,慣例に従うことも大切です.