ランダムウォーク解析について前回に引き続き考えていきます.今回は自己相関(自己共分散)関数との関係です.前回の記事は以下です.
ゆらぎ関数と自己相関(自己共分散)関数との関係
ここでは.平均0,分散の弱定常過程の時系列
を考えます.自己相関(自己共分散)関数は,
です.折れたかっこ(ブラケット)は,期待値を表します.
前回の記事に書いた,2乗平均の期待値 (ゆらぎ関数: fluctuation function)
の計算結果を見直して,書き直すと,
が成り立つことがわかります.公式的に示しておくと,こうなってます.
長期記憶過程を解析すると
長期記憶過程の時系列をランダムウォーク解析するとどうなるでしょうか.長期記憶過程では,自己相関関数が,
となります.これは,の非整数ガウスノイズに対応します.
上の関係式を使うと,
と評価できます (は比例する部分のみ残した,
は近似を表します).
が大きくなると,第1項が支配的になるので,
となります.と比較して,以下の関係が成り立つことがわかります.
伝統的な時系列解析は,弱定常中心主義,自己相関中心主義なので,「相関」が重んじられるような印象があります.しかし,上の式のの値の範囲 (
)は狭すぎです.
で言えば,
の範囲です.そのため,今回の議論では,
について,限られた知識しか教えてくれません.
次回は,パワースペクトルとの関係を説明します.いよいよ,ラグオペレータを使います.