ケィオスの時系列解析メモランダム

時系列解析,生体情報学,数学・物理などの解説です.

【心拍変動解析】心拍変動指標はどれを使えばいいの?

 心拍変動を研究や商品開発で使いたいとき,まず,参照すべき論文があります.それが,以下のリンクにあります.

https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/01.CIR.93.5.1043

 この論文のタイトルは,

Heart Rate Variability
Standards of Measurement, Physiological Interpretation, and Clinical Use

 自然科学や理工学の感覚とは違い,医学,生理学では,先に出た論文,特に権威の高い論文に載った解析方法を,とにかく信じて使い続けることがあります.これは,先行研究と新しい研究とで,結果を比較できるようにするという点で重要です.とはいえ,私は分析方法を吟味した上で,これはあまり意味がない分析なのにと思うこともあります.そんなときでも,できる限り,分野の慣例には従うようにしています.

 心拍変動の解析では,基本,上の論文で定義されている心拍変動指標を計算してください.とはいえ,全部でなくてもいいです.

 使われる頻度が高いもの1位は,

 SDNN

です.多くの場合,これに加えて

 HF
 LF
 LF/HF
 RMSSD

などが,使われます.もっと,多くという場合は,

 VLF
 pNN50
 パワースペクトルのlog-logプロットの傾き

でしょうか.

 心拍変動解析では,非線形指標と呼ばれるものがくせ者で,私の理解では非線形ではないのに「非線形指標」と呼ばれたりしています.これに,ついては,今度説明します.