今回は,自己回帰過程について,パワースペクトルの複素積分で,対応する自己共分散(自己相関)を表します.これは,
「次自己回帰過程のパワースペクトルは,1次自己回帰過程と2次自己回帰過程のパワースペクトルの和になっている」
あるいは,
「次自己回帰過程の自己共分散(自己相関)は,1次自己回帰過程と2次自己回帰過程の自己共分散(自己相関)の和になっている」
ということを,示すための準備です.
パワースペクトルの複素積分で自己共分散(自己相関)を表現
次自己回帰過程(以下のは平均0,分散の白色ガウスノイズ)
について前に説明しました.
自己回帰過程が発散しない (定常)になる条件は,
「特性方程式の解 (根)の絶対値がすべて1より大きい」
ということです.
とおきます.
を使えば,次自己回帰過程のパワースペクトルは,のとき,
と表すことができます.
ここでは前提として,特性方程式の根
の絶対値がすべて1より大きいとします.
このとき,の根は,
になるので,
「 の根の絶対値はすべて1より小さくなります」 (これ重要です).
前の記事
chaos-kiyono.hatenablog.com
で説明した
となることを使えば,次自己回帰過程
のパワースペクトルは,
となります.上の変形では,として,置換積分しました.は複素数なので,この積分は複素積分です.複素平面で半径1の円に沿って左周りに周回積分します.