最近,「ピリオドグラム」(periodogram)とか「ピリオドグラム法」って何を意味するのかわからなくなりました.きっかけは,セミナーで使っている北川源四郎先生の時系列解析の本です.人のせいにしてすいません.
私は,periodogramを,ずーっと(20年ほど)「ペリオドグラム」とカタカナ読みしてきたので,「ペ」じゃなくて「ピ」だと,怒られそうです.先月くらいから,「ピ」と書いてある本が多いと認識し,「ピ」を使うようになりました.
私は,論文を書くときに,periodogramって単語を使ったことないので,これからも使わないようにしようと思ってます.なぜなら,この単語は定義を一つに定めないからです.
「ピリオドグラム」というのは,パワースペクトルの推定量 (推定方法)の一つだと,私は理解しています. 私が,これまで論文を読んできた印象のからえた「ピリオドグラム」の定義は,1本の時系列をまるごとフーリエ変換して
を求め,その絶対値の2乗を時系列の長さ
で割ったものです.つまり,
です.英語のWikipediaにもそう書いてあります (で割らないバージョンもあるとか).
それが,北川先生の本では,長さNの時系列の自己共分散(自己相関)関数の推定量
を計算し,その後に
のフーリエ変換を計算するものが「ピリオドグラム」と定義してあります.つまり,
が,
の増加にともない,急速に0に近づくとき,ピリオドグラムは,
です.ここで,
です.数学のルールでは,自分で定義すれば,それで正しいのですが,これを「ピリオドグラム」と呼んだら,世界の標準とずれてしまうかもと,心配になります.
前の記事で,時系列を分割してパワースペクトル平均化をとる話をしました.
chaos-kiyono.hatenablog.com
私の中では (英語のWikipediaの影響で),これを,バートレット法 (Bartlett's method),あるいは,ウェルチ法 (Welch's method)と呼ぶと思ってました.時系列を列を分割するときにオーバーラップがあるのが,ウェルチかな,という印象です.
ユーチューバーが,「おい,○○」とか言って,他の人をあおったりしますが,ペリオドグラムで誰も間違いを犯したりしてません.呼び名なんて,どうでもいいということです.