昨日と今日の2日間,近畿大学の生物理工学部で集中講義をしました.そこで,フラクタルの話をちょっとしたので,今回は一般化コッホ曲線のフラクタル次元についての説明です.

一般化コッホ曲線の生成ルール
以下の手順で作ります.
1. パラメタを,
(
) の範囲で設定.

一般化コッホ曲線の生成過程の変形では,下の図のように,各辺の長さはすべて同じにします.

上の図のように,各辺の長さを,横幅を
とすれば,
となります.長さの線分を,上の図の形に変形することが,一般化コッホ曲線の生成ルールです.
2. 長さ1の線分から変形開始.

3. 両端からの長さの線分を残し,中央部分を除去.

例えば,のときが,通常のコッホ曲線.
4. 中央にの長さの2辺を加える (各辺の長さはすべて同じ).

5. 各辺に,上と相似な変形を繰り返し適用.

を変化させたときの図形を下にいくつか描きました.ただし,
,
は,一般化コッホ曲線ではありません.

一般化コッホ曲線のフラクタル次元
ここでは,フラクタル次元を次のように決めることにします.
この定義を使って,一般化コッホ曲線のフラクタル次元を計算してみます.下の図のように,元の図形を倍したものを縮小図形とすれば,全体を覆うために必要な個数
は4になります.

さらに,元の図形を
倍,
倍,
倍
としていけば,は,それぞれ,
,
,
になります.
一般に,を自然数として,
とすれば,元の図形を
倍
したとき,
になりそうです.
フラクタル次元の定義式から,
となるので,,
を代入して,
となります.
のとき,
です.
また, のとき,
です.したがって,線分の次元が1,三角形の次元が2というフラクタルでない図形の次元ともあっています.
(
) の一般化コッホ曲線の場合は,
の整数でない次元をとります.
一般化コッホ曲線の長さ
一般化コッホ曲線の長さを計算してみます.長さ1の線分から変形を回繰り返すと,各線分の長さは
線分の総数は,
になります.
全長は,各線分の長さかける線分の総数で計算できるので,
です. (
) のとき,
なので,
です.
ということで,一般化コッホ曲線の長さは,
となります.
一般化コッホ曲線の長さは,であればいつでも無限なので,一般化コッホ曲線の特徴付けには使えません.そこで,登場したのがフラクタル次元ということです.