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充電用USB type-Cケーブル

スマホやパソコンを充電したり,周辺機器をつないだりするケーブルとして,USB type-Cが一般的になっています.USB type-Cのケーブルって見た目は同じなのに,機能や性能が違うことを最近知りました.ということで,今回は「充電用のUSB type-Cケーブル」について調べてみました.

USB type-Cケーブル

Type-Cで2m超の長いケーブルはUSB 2.0規格

 データ転送の早さが売りのUSB type-Cケーブルは,規格上,長さの上限があります.例えば,「USB 3.1 Gen1」では2mまで,「USB 3.1 Gen2」や「USB 3.2」では1mまでとなっています.ですので,2mを超えるUSB type-Cケーブルは,今となっては古い「USB 2.0」規格の可能性大です.つまり,データの転送速度は威張れるほどではありません.でも,充電の性能は悪くないかもしれないというのが今回のポイントです.

 USB type-Aからtype-Cへのケーブルだと,USB type-Aのコネクタの内部が黒くなっていれば,USB 2.0規格です.昔ながらのUSB 2.0規格準拠だと,最大5V×0.5A = 2.5 Wになるので,最新の急速充電はできません.が,しかし,USB type-Aからtype-Cへのケーブルでも,"USB Type-C Current"という規格で充電できるようで,5V×3A = 15 Wくらいいけるそうです.

一般的なUSB type-Aからtype-Cへのケーブルを,USB CABLE CHECKER 2 (Bit Trade One製)で評価.ディスプレイに「SOURCE 0.5A」とあるように,0.5Aの電流が上限として設定されるので, 供給電圧が5VのUSB2.0規格では,5V×0.5A = 2.5 Wの給電が最大になる.と想像しましたが,Anker PowerPort Atom III 65W SlimでUSB type-Aからtype-c接続でスマホを充電して,計ってみると2A近く (10Wくらい)流れていました.ケーブルの説明を読むと,「3A急速充電」ということで,最大3Aまで大丈夫と書いてありました.想像では,"USB Type-C Current"という規格なんだと思います.

データ通信はUSB2.0だけど,急速充電可能な充電用USB type-Cケーブルがある

 私は,ノートパソコンやスマホへの充電に,AnkerとMcdodoのケーブルを使っています.Ankerだと「PowerLine III Flow USB-C & USB-C ケーブル」,Mcdodoだと「Type C Type Cケーブル」(コネクタに電力が表示されるやつ)を主に使っています.理由は,「USB Power Delivery (略してUSB PD)」という急速充電の規格に対応していると明記してあることと, 100Wまでいけると給電電力も明記してあるので,なんとなくよさそうと感じたからです.これって,私の想像です.

Anker PowerLine III Flow USB-C & USB-C ケーブルをUSB CABLE CHECKER 2 (Bit Trade One製)で評価.ケーブル内の配線はほぼUSB2.0だけと,Configration Channel (CC)の配線があり,E-Markedケーブルになっている.ディスプレイ「E-Marked」が表示されているので,eMarkerチップがケーブルに内蔵されていることが分かる.E-Markedケーブルにしてある理由は,最大電流5Aの100Wケーブルにするためです.
Mcdodo Type C Type CケーブルをUSB CABLE CHECKER 2 (Bit Trade One製)で評価.これも,ケーブル内の配線はほぼUSB2.0だけと,Configration Channel (CC)の配線があり,E-Markedケーブルになっている.

 今回調べてわかったことは,私が充電に使っているUSB type-Cは,データ通信については,USB2.0規格だということです (上の写真).しかし,給電については,「USB 3.1 Gen. 1」以上の規格 (あるいは,USB PDの規格)で定められた,eMarkerというチップが内蔵されています.eMarkerチップが内蔵されたケーブルは,「E-Markedケーブル」と呼ばれます.ここで紹介したケーブルでは,eMarkerチップに書かれた情報により,最大5Aまで流せるケーブルとして認識されます.現行のUSB PD規格では,最大電圧が20Vなので,5A×20V=100Wの供給が可能になり,高速充電が実現できるようです.なんか,充電に特化したケーブルのようです.下の写真のように,Mcdodo Type C Type Cケーブルを使ってノートパソコンを充電してみると,USB PDに対応して60W供給しているようなので,古いUSB2.0の2.5Wよりは高速充電できてます.今回,ノートパソコンの充電には,最大65W出力のUSB PD充電器Anker Nano II 65Wを使いました.

USD PD充電器Anker Nano II 65WとMcdodo Type C Type Cケーブルでパソコンを充電.Mcdodoのケーブルのコネクタ部分に供給されている電力が表示される.

 PD対応で100W急速充電可能なType-Cケーブルは,USB PD充電器を使った充電用のケーブルです.しかし,ディスプレイの接続には使えないし,データ通信の速度も最高速ではないということです.とはいえ, USB2.0と同様にデータ通信はできます.

 USB3.x規格では,ケーブルが短く,充電用途には不便なので,USB2.0のtype-Cケーブルが存在するのだと思います.これは,私の想像です.

USB 3.1 Gen2規格のケーブルをUSB CABLE CHECKER 2 (Bit Trade One製)で評価するとこんな感じになる.

60Wケーブルと100Wケーブルの違い

 両端がType-Cのケーブルは,規格上,60Wの給電に対応しているそうです.つまり,規格を無視した粗悪品は除いて,どのType-Cケーブルでも,最大3Aの電流が流せて,USB PD規格で最大20Vをかけたとすれば,3A×20V=60Wの供給が可能ということです.

 60Wを超えて100Wの供給が可能なType-Cケーブルでは,eMarkerチップに「最大5Aまで流せるよ」という情報が書いてあるそうです.

 USB2.0規格のType-Cケーブルでは,eMarkerチップがそもそも内蔵されていないものがあります.その場合は,充電時に最大電流3Aの60Wケーブルと判定されます.ただし,60Wケーブルでも,Type-Cの仕様であるConfigration Channel (CC)という配線が存在する必要があって,その有無がUSB CABLE CHECKER 2のCCの点灯で分かります.両端がType-Cでないと,CCの配線は作れません.

 上で紹介したE-Markedケーブルでは,CCもあり,eMarkerチップも内蔵されていて,充電時に100Wケーブルと判定されるということです.

まとめ

 今回は気になっていたUSB type-Cことを調べてみました.分かったことは,充電用の長めのUSB type-Cケーブル (USB 2.0)と,データ転送用のUSB3.x仕様のUSB type-Cケーブルを両方用意して,用途に応じて使い分けた方がよいかもということです.とはいえ,データ保存に使う外付けSSDを買うと,短いUSB type-Cがついているので,データ転送用のケーブルをわざわざ買う必要性は低いです.

 私は,USBケーブルと充電の専門家ではないので,間違いがあると思います.間違いがあれば教えてください.