ケィオスの時系列解析メモランダム

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【時系列解析】パワースペクトルで相関のイメージをつかむ

今回は,パワースペクトルから長時間相関のイメージをつかむための説明です.

長時間相関では,長時間の正の相関と,長時間の負の相関があります.ここでは,「相関」という用語を,自己相関関数ではなく,「似た値の出やすさ」くらいの意味で使っていることに注意してください.

時系列が長時間の正の相関をもつ場合,パワースペクトルは,低周波数成分ほど,パワー(振幅)が大きくなります.下の図は,左上が長時間の正の相関をもつ時系列の例,右側がラグ1の散布図です.その下に,低周波数成分2つと高周波数成分2つを描いてあります.周波数成分についても,右側にラグ1の散布図が描いてあります.高周波数成分より,低周波数成分の方が大きいということは,近い値が持続しやすく,正の相関を作る成分が支配的だということです.

周波数成分と長時間の正の相関の直感的説明

非整数ブラウン運動ブラウン運動では,低周波数成分が非常に強いので,似たような値が続いているというこです.

次は,長時間の負の相関の場合です ( H < 0.5の非整数ガウスノイズ, d < 0のARFIMA(0, d, 0)過程が例).下の図は,左上が長時間の負の相関をもつ時系列の例,右側がラグ1の散布図です.その下に,低周波数成分2つと高周波数成分2つを描いてあります.周波数成分についても,右側にラグ1の散布図が描いてあります.低周波数成分より,高周波数成分の方が大きいということは,正負の値が交互に出現しやすいということです.さらに,正の区間が続いた後に,負の区間が続きやすいというのも,相対的に高周波数の成分が作り出している傾向です.

周波数成分と長時間の負の相関の直感的説明


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