ケィオスの時系列解析メモランダム

時系列解析,生体情報学,数学・物理などの解説です.

【確率統計】確率変数の和の期待値と分散,積の期待値

ここでは,公式として,2つの確率変数XYの和,積,分散の性質をまとめおきます.証明は,たくさんの方が与えてくれているのでそれを参照してください.以下の関係は,今後,ランダムウォークの軌道の性質を議論するために使います.

期待値の表現

 数学系の方々は,確率変数Xの期待値を

 {\rm E} [ X]{\rm E} (X){\rm E} X

と表すことが多い気がします.{\rm E}ではなく,特別なフォント\mathbb{E} (TeXで\mathbb{E})を使うこともあります.

 物理系の私は,確率変数Xの期待値を,ブラケットを使って

  \left\langle X \right\rangle

とします.物理の偉大な先輩たちがこの表現を使ってきたので,私も論文を書くときはこの表現を使います.以下でもブラケットで期待値を表します.

期待値の定義

 離散確率変数Xの確率質量関数を

 p(x) = {\rm Pr} (X=x)

とすれば,Xの期待値は

 \displaystyle  \left\langle X \right\rangle = \sum_{i} x_i p(x_i)

です.Xの関数g(X)の期待値は

 \displaystyle  \left\langle g(X) \right\rangle = \sum_{i} g(x_i) p(x_i)

です.
 連続確率変数X確率密度関数f(x)

  f(x)\, dx = {\rm Pr} (x < X < x + dx)

とすれば,Xの期待値は

 \displaystyle \left\langle X \right\rangle = \int_{-\infty}^{\infty} x \, f(x) \, dx

です.Xの関数g(X)の期待値は

 \displaystyle \left\langle g(X) \right\rangle = \int_{-\infty}^{\infty} g(x) \, f(x) \, dx

です.大文字と小文字の使い分けをマスターしてください.

2つの確率変数の和の期待値

 確率変数の和 X + Yの期待値は,条件なしに

 \displaystyle  \left\langle X + Y \right\rangle = \left\langle X \right\rangle  + \left\langle Y \right\rangle

です.どんなときも,足し算,引き算は,分けることができます.

つまり,線形なので,abを定数として,

 \displaystyle  \left\langle a X + b Y \right\rangle = a \left\langle X \right\rangle  + b \left\langle Y \right\rangle

です.

2つの確率変数の積の期待値

 確率変数の積 XYの期待値は,互いに独立なときのみ

 \displaystyle  \left\langle XY \right\rangle = \left\langle X \right\rangle \left\langle Y \right\rangle

です.

2つの確率変数の分散

 確率変数 Xの分散を,

  V(X) =  \left\langle (X  - \left\langle X \right\rangle )^2 \right\rangle

とします.
 確率変数の和 X + Yの分散は,互いに独立なときのみ

  V(X+Y) =  V(X) + V(Y)

です.abを定数として,

  V(a X+b Y) = a^2 V(X) + b^2 V(Y)

です.

参考になるページ

 証明は面倒なのでしません.以下のホームページがとても参考になるお思います.

mathwords.net

www.risalc.info

okasho-engineer.com

manabitimes.jp