ケィオスの時系列解析メモランダム

時系列解析,生体情報学,数学・物理などの解説です.

フラクタル

【Rで時系列解析】長時間相互相関解析 detrending moving-average cross-correlation analysis (DMCA)

時系列解析で,長時間相関といえば長時間自己相関を意味することがほとんどです.つまり,1本の時系列の性質を考えています. 長時間自己相関 (左から,1本の時系列,散布図,パワースペクトル) ここでは,1本ではなく,2本の時系列が共通に持つ特性とし…

【Rで時系列解析】Detrending Moving Average (DMA) Algorithm

今回は,長時間相関,長期記憶,フラクタル性などを示す時系列のスケーリング解析をやってみようというお話です. chaos-kiyono.hatenablog.com 以下では,Detrending Moving Average Algorithm,略して,DMAと呼ばれる方法を紹介します.この業界では,Detr…

【Rで非整数ブラウン運動】拡大アニメの作成

非整数ブラウン運動の説明用のアニメを作ってみました. ブラウン運動 (H = 0.5)のサンプルパスの拡大非整数ブラウン運動 (H = 0.8)のサンプルパス非整数ブラウン運動 (H = 0.3)のサンプルパス高解像度な,Youtube版は以下です. www.youtube.com www.youtub…

【フラクタルの数理】一般化コッホ曲線のフラクタル次元の計算

昨日と今日の2日間,近畿大学の生物理工学部で集中講義をしました.そこで,フラクタルの話をちょっとしたので,今回は一般化コッホ曲線のフラクタル次元についての説明です. 一般化コッホ曲線の生成ルール 一般化コッホ曲線のフラクタル次元 一般化コッホ…

【ブラウン運動の数理】ランダムウォークからブラウン運動へ

非整数ブラウン運動の定義式で登場するは,時刻の1次元のブラウン運動の微小な増分です.ブラウン運動の増分って,とどのつまり,正規分布に従う白色ノイズなわけです.重要なのは,その分散が時間の増分に比例する,つまり, ということです.今回は,ここ…

【非整数ブラウン運動の数理】数値的にサンプルパスを生成

最近,一番気に入っているアニメは「異世界おじさん」です.ということで,今回は,非整数ブラウン運動を表す数式 の意味を理解するために,この積分を離散化して計算してみます.この積分がオリジナルの論文 Mandelbrot, Benoit B., and John W. Van Ness. …

【長時間相関スケーリング解析】DMAの説明用gif動画

Detrending moving average analysis (DMA)の説明用の動画を作っておきました.学会発表などで使ってください. DMAの手順 より本格的なものは,Youtubeにあげておきます. www.youtube.com 実際の分析の方法は,以前の記事を参考にしてください. chaos-kiy…

【Rで時系列解析】1/fノイズ (ピンクノイズ)時系列の生成:中点変位法

今回は,中点変位法 (midpoint displacement algorithm)で,1/fノイズ (ピンクノイズ)のサンプル時系列を生成します.元々,中点変位法は,非整数ブラウン運動のサンプルパス (サンプル時系列)を作る方法ですが,非整数ブラウン運動をわずかにはみ出た領域を…

【時系列解析】長期記憶,長時間相関,フラクタル

時系列の長期記憶 (long memory),長時間相関 (long-range correlation),フラクタル性 (fractality)について整理しておきます. 長期記憶過程 (long memory process) 長期記憶過程は自己共分散関数が, となる確率過程です.何で全部足すの?という疑問がわ…

【時系列解析】ランダムウォーク解析の解析的考察(その4:スケーリング指数の関係)

「ランダムウォーク解析」の話の続きです.前回の記事は,これです. chaos-kiyono.hatenablog.com ランダムウォーク解析では,(1) 観測時系列の平均を0にして,(2) 積分して,(3) その増分の2乗平均の平方根をいろんなスケールで計算して,(4) 対のプロッ…

【時系列解析】ランダムウォーク解析の解析的考察(その3:パワースペクトルとの関係)

今回も,ランダムウォーク解析についてです.ランダムウォーク解析 (fluctuation analysisと呼ばれることも)は,Natureに出版された論文でも使われています (以下のリンク). www.nature.com とはいえ,ランダムウォーク解析は,今では実用的な時系列解析法…

【時系列解析】ランダムウォーク解析の解析的考察(その2:自己相関関数との関係)

ランダムウォーク解析について前回に引き続き考えていきます.今回は自己相関(自己共分散)関数との関係です.前回の記事は以下です.chaos-kiyono.hatenablog.com ゆらぎ関数と自己相関(自己共分散)関数との関係 ここでは.平均0,分散の弱定常過程の時…

【時系列解析】ランダムウォーク解析の解析的考察(その1:白色ノイズの場合)

ランダムウォーク解析のつづきです.今回は,この解析法について解析的に考えてみます.chaos-kiyono.hatenablog.com 白色ノイズのランダムウォーク解析 白色ノイズを分析すると 白色ノイズは,無相関な時系列です.平均0,分散の白色ノイズの時系列をランダ…

【Rでフラクタル解析】ランダムウォーク解析,Fluctuation analysis,2次構造関数解析

今回は,ランダムウォーク解析の導入です.detrended fluctuation analysis (DFA)とか,detrending moving average analysis (DMA)とかを使ってる研究者の方が,そこそこいると思います.ランダムウォーク解析は,DFA,DMAの原型となる,素朴な方法です.ラ…

【フラクタル解析】1次元ランダムウォークの自己アフィン性

時系列のフラクタル解析に分類されるdetrended fluctuation analysis (DFA)とか,detrending moving average analysis (DMA)で何をやっているのかを理解するためには,無相関な時系列を積分すると,その積分時系列がどのような特性を持つようになるのかを理…

【Rでシミュレーション】ブラウン運動のランダムウォークモデル

講義用の参考資料です.今回は,ランダムウォークのサンプルパスを描きます.簡単化のためにx軸上の動きのみを考えます. ランダムウォークのサンプルパス (p = 0.5, q=0.5) ランダムウォークは,ブラウン運動の確率モデルです.物理学におけるブラウン運動…

【Rで時系列解析】1/fゆらぎを積分すると傾き2だけ変化(数値実験)

前回は,時系列の積分がパワースペクトルにもたらす変化「ゆらぎを積分すると,ゆらぎになる」を解析的に示しました.chaos-kiyono.hatenablog.com今回は,数値実験です. 非整数ガウスノイズ(左)とその積分(右),下は対応するパワースペクトルのlog-log…

【時系列解析】時系列の長時間相関解析(フラクタル解析)

パワースペクトル解析,長時間相関解析などについて,私の古い解説動画のリンクをまとめておきます.興味があれば見てみてください.中途半端なところで解説動画が止まっているので,このブログで文章での説明がある程度まとまれば,新しく解説動画を作って…

【Rを使った時系列解析】有限の周波数領域で1/fゆらぎ(ピンクノイズ)になる時系列を生成

今回は,周波数がの領域で1/fゆらぎ(ピンクノイズ)の特性を持つサンプル時系列の生成をやります.詳しい説明はしませんが,1/fゆらぎの生成メカニズムとして,自己共分散関数が指数関数的な減衰を示すサブシステムの和を考えるものが提案されています(下…

【Rを使った時系列解析】1/fゆらぎ(ピンクノイズ)を生成

今回は,狭い意味での1/fゆらぎを生成します.ピンクノイズとも呼ばれます.なぜピンクかといえば,色とのアナロジーです.可視光の低周波数側の端が赤色なので,低周波側,つまり,白色よりも赤色が強調されていると考えられるので,色で言えば,どちらかと…

【Rを使った時系列解析】非整数ガウスノイズの生成

今回は,Rを使って非整数ガウスノイズ(fractional Gaussian noise)を生成します.しかも,一切,パッケージに頼らずにです.そもそも,非整数ガウスノイズとは何かというと,ポイントは以下です: ガウスノイズなので,分布は正規分布に従います. 自己共…

【Rで時系列解析】Detrending moving average algorithm (DMA)を使った長時間相関スケーリング解析

今回はDetrending moving average algorithm (DMA)をRでやってみます.DMAの参考文献はこれです(ダウンロードできない人が多いと思います.オープンアクセスの良い論文を見つけられませんでした): Detrending Moving Average algorithm: a brief review …

【Rで時系列解析】Detrended Fluctuation Analysis (DFA)を使った長時間相関スケーリング解析

今回はDetrended Fluctuation Analysis (DFA)をRでやってみます.パッケージもあると思いますが,パッケージなしで実現します.まずは,解析する時系列の準備です.これは,longmemoパッケージを使います.分析したい時系列がある場合は,このRスクリプトは…

【時系列解析】長時間相関って何だ

Detrended fluctuation analysis (DFA)の解釈の説明で, のときが無相関 のときが長時間の負の相関(長時間反相関,長時間逆相関) のときが長時間の正の相関(長時間正相関) と説明されることがよくあります.今回は,私がこの説明に抱く違和感と,私が考…

【Rでフラクタル】非整数ブラウン運動Zoomingアニメの作成

非整数ブラウン運動は,横と縦方向の拡大倍率を,対とすれば,時系列の統計的性質が拡大前後で同じになる過程です.は,ハースト(Hurst)指数と呼ばれるパラメタで,非整数ブラウン運動はの値で特徴付けられます.数式で理解する前に,非整数ブラウン運動の…

【時系列のフラクタル解析】DMAの使い方(C言語プログラムの配布と使い方)

時系列の長時間相関解析やフラクタル解析(統計的自己アフィン性の解析)を行うのに,最近の20年間でDetrended fluctuation analysis (DFA)が使われることが多くなっています.DFAは神話化がはじまっており,その本質や欠点がきちんと理解されていないという…

【フラクタル】コッホ曲線

時系列解析でもフラクタル解析ってあります.時系列の場合は,自己相似フラクタルじゃなくで,統計的な自己アフィンフラクタルで,みんながイメージしているフラクタルとはちょっと違うかもしれません.詳しいことはさておき,そもそもフラクタルって何を感…

【時系列のフラクタル解析】DMCAの実際(最適ラグの推定)

今回は,Detrending Moving-Average Cross-Correlation Analysis (DMCA)でラグを推定します.ここでは,DMCAのC言語プログラムをコンパイルしたもの(各自コンパイルしてください),windowsのコマンドプロンプト,Rを使います.下記の論文"Generalized theo…

【Rでフラクタル解析】長時間相互相関時系列の生成(ラグ指定あり)

下記の論文"Generalized theory for detrending moving-average cross-correlation analysis: A practical guide"の解説シリーズです. doi.orgまずは,detrending moving-average cross-correlation analysis (DMCA)で,何をやっているの?ということを少し…

【Rで時系列解析】白色ノイズと桃色ノイズを音で体験

時系列解析では,ホワイトノイズとか,ピンクノイズ,レッドノイズとか登場します.私は,ホワイトノイズ以外の呼び方は,ほとんど使いません(色じゃないし).これらの色の名前がついたノイズは,それらの時系列のパワースペクトルの形状と色のスペクトル…