ケィオスの時系列解析メモランダム

時系列解析,生体情報学,数学・物理などの解説です.

R言語

【Rで時系列解析】スペクトルウインドーを使ったパワースペクトルの平滑化:Rの"spectrum"での"spans"オプションの意味

今回は,離散フーリエ変換でえられるギザギザなパワースペクトルを,滑らかにする「平滑化」についてです.いろいろ書きたいことはありますが,まずは,Rでお世話になることが多い"spectrum"というコマンドのオプション"spans"について説明します.今回の説…

【Rで聴覚の不思議】無限にのぼるドレミファソラシド:シェパード・トーン

前回に続き「シェパード・トーン」(Shepard tone)のサンプルを作成してみました.今回は,無限に登り続ける音階です.www.youtube.com 作り方の詳細は前回の記事を参照してください (それほど詳しくありませんが). chaos-kiyono.hatenablog.com 今回のポイ…

【Rで聴覚の不思議】無限音階「シェパード・トーン」の紹介

最近,音の認知について少しずつ勉強しています.今回は「錯聴」と呼ばれる音のイリュージョン (錯覚)の話です. 有名な錯聴の一つに「シェパード・トーン」(Shepard tone)と呼ばれる,無限に音程が上昇していくように聞こえる音があります.私も自分でその…

【Rで時系列解析】相乗対数正規過程に従う非ガウスゆらぎ

自然界で観測される時系列には正規分布に従わないものがたくさんあります.正規分布はガウス分布とも呼ばれるので,正規分布に従わない確率過程は「非ガウス過程」と呼ばれます.時系列であれば,「非ガウス時系列」ですが,私はもっとやわらかい響きが好き…

【Rで時系列解析】1/fノイズの自己共分散 (自己相関)関数は対数関数で,べきじゃない

今回は,1/fノイズ (ピンクノイズ)の自己共分散 (自己相関)関数についての話です.つまり,パワースペクトルが となる時系列の自己共分散 (自己相関)関数は, ということを説明します.解析的に導出しようかと思いましたが,この論文 doi.org の流れをなぞる…

【Rでピンクノイズ】ピンクノイズ (1/fゆらぎ)の生成方法のまとめ

これまでに,ピンクノイズ (1/fゆらぎ)のサンプル時系列の生成方法について,私が知っているものは,ほぼすべて紹介しました (自己相関関数を指定するものだけ説明してません).今回は,ピンクノイズ (1/fゆらぎ)の生成方法をまとめておきます. Rのパッケー…

【Rで時系列解析】1/fノイズ (ピンクノイズ)時系列の生成:中点変位法

今回は,中点変位法 (midpoint displacement algorithm)で,1/fノイズ (ピンクノイズ)のサンプル時系列を生成します.元々,中点変位法は,非整数ブラウン運動のサンプルパス (サンプル時系列)を作る方法ですが,非整数ブラウン運動をわずかにはみ出た領域を…

【Rで時系列解析】中点変位法 (midpoint displacement algorithm)で非整数ブラウン運動のサンプルパスを生成

1次元の非整数ブラウン運動 (fractional Brownian motion)のサンプルパス (時系列)の生成方法の一つ「中点変位法」(midpoint displacement algorithm)について説明します. 中点変位法で作成した非整数ブラウン運動のサンプルパス (H=0.8)この話は,「フラ…

【Rで時系列解析】白色ノイズのm階積分 (和分)過程のパワースペクトル (数値実験)

前に,階積分 (和分)過程のパワースペクトルの記事を書いたときに導いた結果,分散の白色ノイズの階差分過程の時系列のパワースペクトルは, 階積分 (和分)過程の時系列のパワースペクトルは, について,数値実験で確認していなかったので,やっておきます…

【時系列解析】非整数積分 (和分)があれば,パワースペクトルはもっと自由:ARFIMA(0, d, 0)の半歩手前から大きく外れてみる

今回はパワースペクトルが,を定数として, の形になる,差分方程式で記述される確率過程を考えます.前の記事 chaos-kiyono.hatenablog.com で,m階積分 (和分)過程のパワースペクトル(もどき)を計算しました.つまり, 分散の白色ノイズの階積分 (和分)…

【Windows・R】フォルダのパスを調べる

Rスクリプトでファイルを読み込みたいとき,そのファイルがあるフォルダのパスの情報が必要です.今回は,そのフォルダのパスを調べる方法の説明です. フォルダのパスをコピーするまで 手順は以下です. 1. エクスプローラで,読み込みたいファイルがあるフ…

【心拍変動解析】RR間隔時系列の再サンプリング (等間隔サンプリング化)

心拍変動解析では,パワースペクトルの推定を使った心拍変動指標がよく使われます.HFパワーとか,LFパワーとか呼ばれるやつです.今回は,これら指標について説明しません.心拍変動指標を計算する前に,絶対に理解しておかなければならないことがあるから…

【時系列解析】自己回帰過程のパラメタとパワースペクトルの関係

今回は,一般に次自己回帰過程 のパラメタと,の分散 (平均は0とします)がわかったときに,そのパワースペクトルを導きます.というか,パワースペクトルをとりあえず式で書きます. 今回は,パワースペクトルのパラメトリック推定を理解するための準備にな…

【Rで時系列解析】心拍変動データを読み込み

今回は実際の時系列データを読み込んでグラフを描いでみます. 濃厚接触者として自宅待機中(現在)の私の心拍変動 (RRI間隔)時系列をサンプルとして使ってください.以下のリンクからダウンロードできます. https://drive.google.com/file/d/1i0VIooI1-IKA…

【Rでフラクタル解析】ランダムウォーク解析,Fluctuation analysis,2次構造関数解析

今回は,ランダムウォーク解析の導入です.detrended fluctuation analysis (DFA)とか,detrending moving average analysis (DMA)とかを使ってる研究者の方が,そこそこいると思います.ランダムウォーク解析は,DFA,DMAの原型となる,素朴な方法です.ラ…

【Rで時系列解析】1/fゆらぎを積分すると傾き2だけ変化(数値実験)

前回は,時系列の積分がパワースペクトルにもたらす変化「ゆらぎを積分すると,ゆらぎになる」を解析的に示しました.chaos-kiyono.hatenablog.com今回は,数値実験です. 非整数ガウスノイズ(左)とその積分(右),下は対応するパワースペクトルのlog-log…

【非線形力学系の数値解析】レスラー方程式のカオス

今日の講義資料です.散逸力学系のカオスアトラクター(下図)をRを使って描画してみます.ただし,ここで説明する例は,ただの3次元プロットです.考える微分方程式はレスラー方程式です.パラメタは,カオスになる代表的な値を使います.方程式については…

【時系列解析】2次自己回帰過程のサンプル時系列から自己共分散関数とパワースペクトルを推定

本日のセミナーの課題は,2次自己回帰過程 ]のサンプル時系列から自己共分散関数とパワースペクトルを推定することです.]は,平均0,分散の白色ノイズです.とりあえず,,でやってみて,他のパラメタでも調べてみてください.これまでの知識を使えば簡単…

【時系列解析】サンプリング間隔がΔtの離散時系列のパワースペクトル

今回は,サンプリング間隔が1ではなく,のときのパワースペクトルについての説明です.スペクトル解析や時系列解析についての教科書では,サンプリング間隔が1の場合のみ扱っているものが多いので,迷うことがあると思います.サンプリング間隔の長さの時系…

【Rを使った時系列解析】有限の周波数領域で1/fゆらぎ(ピンクノイズ)になる時系列を生成

今回は,周波数がの領域で1/fゆらぎ(ピンクノイズ)の特性を持つサンプル時系列の生成をやります.詳しい説明はしませんが,1/fゆらぎの生成メカニズムとして,自己共分散関数が指数関数的な減衰を示すサブシステムの和を考えるものが提案されています(下…

【Rを使った時系列解析】1/fゆらぎ(ピンクノイズ)を生成

今回は,狭い意味での1/fゆらぎを生成します.ピンクノイズとも呼ばれます.なぜピンクかといえば,色とのアナロジーです.可視光の低周波数側の端が赤色なので,低周波側,つまり,白色よりも赤色が強調されていると考えられるので,色で言えば,どちらかと…

【Rを使った時系列解析】非整数ガウスノイズの生成

今回は,Rを使って非整数ガウスノイズ(fractional Gaussian noise)を生成します.しかも,一切,パッケージに頼らずにです.そもそも,非整数ガウスノイズとは何かというと,ポイントは以下です: ガウスノイズなので,分布は正規分布に従います. 自己共…

【Rで時系列解析】Detrending moving average algorithm (DMA)を使った長時間相関スケーリング解析

今回はDetrending moving average algorithm (DMA)をRでやってみます.DMAの参考文献はこれです(ダウンロードできない人が多いと思います.オープンアクセスの良い論文を見つけられませんでした): Detrending Moving Average algorithm: a brief review …

【Rで時系列解析】Detrended Fluctuation Analysis (DFA)を使った長時間相関スケーリング解析

今回はDetrended Fluctuation Analysis (DFA)をRでやってみます.パッケージもあると思いますが,パッケージなしで実現します.まずは,解析する時系列の準備です.これは,longmemoパッケージを使います.分析したい時系列がある場合は,このRスクリプトは…

【Rで時系列解析】自分で指定した自己共分散関数に従うサンプル時系列の生成

今回は,自分で自己共分散関数を指定し,その自己共分散関数に従う確率過程のサンプル時系列を生成する方法の説明です.自己共分散とパワースペクトルの関係を理解した上で,Rのfftコマンドを使いこなせれば簡単です.とはいえ,私は理解力がないので,他の…

【Rで数値解析】カオスアトラクター (Lorenz attractor)の描画

今回は,Rを使った微分方程式の数値計算についての説明というよりも,数値計算結果を3次元プロットする方法の紹介です.私が以下で使っている方法は,ベストではないかもしれませんが,とりあえず,3次元空間内の軌道を立体的に描くことができます.結果は…

【Rで時系列解析】1次自己回帰過程の自己共分散関数とパワースペクトルの推定

今日のセミナーの課題は, 問題 数値的に生成した1次自己回帰過程のサンプル時系列の,自己共分散関数とパワースペクトル(ピリオドグラム)を推定し,理論値と比較せよ.推定は,複数のサンプル時系列を使って平均として求めよ.解答としては,以下のような…

【Rで時系列解析】fftを使ってパワースペクトルを推定(ピリオドグラムを計算)

Rの高速フーリエ変換のコマンドfftを使った結果の見方と,その結果を使ったパワースペクトルの計算について説明します.今回は,以前の chaos-kiyono.hatenablog.com のつづき(補足)です.パワースペクトルの推定は奥が深い(いろいろとテクニックがある)…

【Rでフラクタル】非整数ブラウン運動Zoomingアニメの作成

非整数ブラウン運動は,横と縦方向の拡大倍率を,対とすれば,時系列の統計的性質が拡大前後で同じになる過程です.は,ハースト(Hurst)指数と呼ばれるパラメタで,非整数ブラウン運動はの値で特徴付けられます.数式で理解する前に,非整数ブラウン運動の…

【Rで時系列解析】FFTを使った離散フーリエ変換の実際(各成分の周波数について)

RでFFT(Fast Fourier Transform)を計算するコマンドfftの結果と,離散フーリエ変換の関係,特に,周波数について説明します.実数の時系列を] ()とします.時系列解析では,とすることが多い(C言語やpythonも0から)ですが,ここではRに合わせます.つま…