2022-01-01から1年間の記事一覧
心拍変動を研究や商品開発で使いたいとき,まず,参照すべき論文があります.それが,以下のリンクにあります.https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/01.CIR.93.5.1043 この論文のタイトルは, Heart Rate Variability Standards of Measurement, Physio…
北川 源四郎先生の本「Rによる 時系列モデリング入門」(33 ページ)では, 「ラグが大きくなるとき自己共分散関数が急激に減衰し」という条件が,パワースペクトル の定義を与える部分に書いてあります (以下では,をと書きます).何で? この条件「自己共分…
時系列の長期記憶 (long memory),長時間相関 (long-range correlation),フラクタル性 (fractality)について整理しておきます. 長期記憶過程 (long memory process) 長期記憶過程は自己共分散関数が, となる確率過程です.何で全部足すの?という疑問がわ…
前回は,自己回帰過程の特性方程式の話をしました. chaos-kiyono.hatenablog.com つまり,次自己回帰過程 について,特性方程式 の解 (根)の絶対値がすべて1より大きければ,自己回帰過程は発散しない. ということを説明しました.今回は,Rをつかって実際…
今回は,自己回帰過程の特性方程式の解と定常性の話です.特性方程式の解が,単位円の内側とか外側とかいう話の説明をします.次自己回帰過程 (以下のは,平均0,分散の白色ノイズです) をラグオペレータを使って書けば, と書けます.これは,以前にパワー…
心拍変動解析では,パワースペクトルの推定を使った心拍変動指標がよく使われます.HFパワーとか,LFパワーとか呼ばれるやつです.今回は,これら指標について説明しません.心拍変動指標を計算する前に,絶対に理解しておかなければならないことがあるから…
今回は,一般に次自己回帰過程 のパラメタと,の分散 (平均は0とします)がわかったときに,そのパワースペクトルを導きます.というか,パワースペクトルをとりあえず式で書きます. 今回は,パワースペクトルのパラメトリック推定を理解するための準備にな…
今回は実際の時系列データを読み込んでグラフを描いでみます. 濃厚接触者として自宅待機中(現在)の私の心拍変動 (RRI間隔)時系列をサンプルとして使ってください.以下のリンクからダウンロードできます. https://drive.google.com/file/d/1i0VIooI1-IKA…
「ランダムウォーク解析」の話の続きです.前回の記事は,これです. chaos-kiyono.hatenablog.com ランダムウォーク解析では,(1) 観測時系列の平均を0にして,(2) 積分して,(3) その増分の2乗平均の平方根をいろんなスケールで計算して,(4) 対のプロッ…
今回も,ランダムウォーク解析についてです.ランダムウォーク解析 (fluctuation analysisと呼ばれることも)は,Natureに出版された論文でも使われています (以下のリンク). www.nature.com とはいえ,ランダムウォーク解析は,今では実用的な時系列解析法…
ランダムウォーク解析について前回に引き続き考えていきます.今回は自己相関(自己共分散)関数との関係です.前回の記事は以下です.chaos-kiyono.hatenablog.com ゆらぎ関数と自己相関(自己共分散)関数との関係 ここでは.平均0,分散の弱定常過程の時…
ランダムウォーク解析のつづきです.今回は,この解析法について解析的に考えてみます.chaos-kiyono.hatenablog.com 白色ノイズのランダムウォーク解析 白色ノイズを分析すると 白色ノイズは,無相関な時系列です.平均0,分散の白色ノイズの時系列をランダ…
今回は,ランダムウォーク解析の導入です.detrended fluctuation analysis (DFA)とか,detrending moving average analysis (DMA)とかを使ってる研究者の方が,そこそこいると思います.ランダムウォーク解析は,DFA,DMAの原型となる,素朴な方法です.ラ…
ここでは,公式として,2つの確率変数との和,積,分散の性質をまとめおきます.証明は,たくさんの方が与えてくれているのでそれを参照してください.以下の関係は,今後,ランダムウォークの軌道の性質を議論するために使います. 期待値の表現 数学系の…
時系列のフラクタル解析に分類されるdetrended fluctuation analysis (DFA)とか,detrending moving average analysis (DMA)で何をやっているのかを理解するためには,無相関な時系列を積分すると,その積分時系列がどのような特性を持つようになるのかを理…
講義用の参考資料です.今回は,ランダムウォークのサンプルパスを描きます.簡単化のためにx軸上の動きのみを考えます. ランダムウォークのサンプルパス (p = 0.5, q=0.5) ランダムウォークは,ブラウン運動の確率モデルです.物理学におけるブラウン運動…
自己回帰過程や移動平均過程を表現する際に便利な,ラグオペレータ (lag operator),あるいは,後退オペレータ (backshift operator)と呼ばれるものを紹介します.どちらも名前が違うだけで同じものです.ラグオペレータは,後退オペレータはとすることが多…
私の記事で扱いたいテーマの一つに,1/fノイズ(1/fゆらぎ,ピンクノイズ)があります.私は,1/fゆらぎの科学的意義を伝えたいのですが,世の中では「1/fゆらぎには,リラックス作用がある」と認識されていて,根強い人気があるようです. 私のYoutubeチャ…
時系列を表すときに,とか,とか,とか,]とか,いろいろな書き方があります.今回は,この書き方の慣例について説明します.絶対のルールがあるわけではありません. 連続時間は ,整数の離散時間は下付 か まずは,連続時間と離散時間の使い分けです.時系…
今回から,本格的に2次自己回帰過程のパワースペクトルに入ります.自己回帰過程の理解において,最も重要なポイントの一つは「n次自己回帰過程のパワースペクトルは,1次自己回帰過程と2次自己回帰過程のパワースペクトルの和になっている」ということです…
1/fノイズやホワイトノイズを音として体験する動画資料です.視聴する際は音量を低めに設定してください.1/fノイズ(ピンクノイズ)の音です. www.youtube.comホワイトノイズの音です. www.youtube.comホワイトノイズのハイパス信号です.カットオフ周波…
自己回帰過程のパワースペクトルを求めるテクニックの説明です.自己回帰過程の係数が与えられた状況から,パワースペクトルの式を導くことはとても簡単です.でも,大切なことは理屈を感じることです. 必要な基本知識 長さNの時系列のフーリエ変換とその逆…
弱定常が仮定できる場合のパワースペクトルの定義について,まとめておきます.これまでの私の記事では,時系列のフーリエ変換から計算するものと,時系列の自己共分散関数(自己相関関数)から計算するものを,私のかってな都合にあわせて使い分けていまし…
前回は,時系列の積分がパワースペクトルにもたらす変化「ゆらぎを積分すると,ゆらぎになる」を解析的に示しました.chaos-kiyono.hatenablog.com今回は,数値実験です. 非整数ガウスノイズ(左)とその積分(右),下は対応するパワースペクトルのlog-log…
今回は,「ゆらぎを積分すると,ゆらぎになる」ことの説明です.つまり,時系列のパワースペクトルが,低周波数側で に従うとき,を積分した時系列 ] ()のパワースペクトルが,低周波数側で になることの説明です(下図参照).逆に,差分をとるとになります…
自己共分散 (autocovariance), 自己相関 (autocorrelation), 自己相関係数 (autocorrelation coefficient), この3つの違いを知ってますか?ここで言いたいことは,これらの定義は分野によって違うので,名前にこだわるな,思い込みは捨てろ,教科書や論文…
私の研究室の学生は,私があまりにしつこく1次自己回帰過程の話をするのでうんざりしているかもしれません.さらに,しつこくやっていきます.1次自己回帰過程 (,は平均0,分散の白色ノイズ)のパワースペクトルは, です.今回は,このパワースペクトルのグ…
今日の講義資料です.散逸力学系のカオスアトラクター(下図)をRを使って描画してみます.ただし,ここで説明する例は,ただの3次元プロットです.考える微分方程式はレスラー方程式です.パラメタは,カオスになる代表的な値を使います.方程式については…
本日のセミナーの課題は,2次自己回帰過程 ]のサンプル時系列から自己共分散関数とパワースペクトルを推定することです.]は,平均0,分散の白色ノイズです.とりあえず,,でやってみて,他のパラメタでも調べてみてください.これまでの知識を使えば簡単…
時系列解析で私が大切にしていることは,「自分の目で時系列を見る」ことです.数値列ではなく,グラフにして見ます.とはいえ,ただ,時系列全体をグラフに描けば良いのではなく,「時間スケールを変えて時系列を見る」ことが必要です.ここで,「スケール…